自らが手掛けたウイスキーで
世界一を目指す本坊酒造株式会社 マルス信州蒸留所

駒ヶ岳山麓でのウイスキー造り

本坊酒造のマルスウイスキーは1949(昭和24)年の誕生以来、個性豊かなウイスキーを造り続け、80年代の地ウイスキーブームの火付け役にもなるほどの人気を集めました。そして「日本の風土を生かした本物のウイスキーを造りたい」との思いから、蒸留所を中央アルプス駒ヶ岳山麓標高798mに広がる宮田村へ。1985(昭和60)年、澄んだ空気の冷涼な地で、霧が多く、良質な水に恵まれたこの地にマルス信州蒸溜所が誕生しました。
現在ここでは、マルスウイスキーの生みの親といわれる岩井喜一郎氏の指導のもとに設計されたポットスチルを使用して、大麦麦芽(モルト)のみで蒸留する原酒を造り、モルト原酒のみを混合(ヴァッティング)したモルトウイスキー、グレーン原酒をブレンディングしたブレンデッドウイスキーを生み出しています。

ウィスキーの樽の写真
蒸溜所外観の写真
マルス信州蒸溜所は、本坊酒造が「日本の風土を生かした本物のウイスキー造り」を目指して宮田村に竣工しました。
ウィスキーの写真
左:シェリー樽とアメリカンホワイトオーク樽で熟成されたモルト原酒を主体にした2020年限定瓶詰のシングルモルトウイスキー
右:「岩井トラディション」岩井氏への尊敬と感謝を込めて生まれたブレンデッドウイスキー。様々な樽種やモルト原酒をブレンドすることで、複雑で心地良い香りと味わいに

「クリーンでリッチ」な味わいと香りを実現「世界最高賞」を自らの手で

ウイスキーの仕込み水はマザーウォーターといわれ、どんな水を選ぶかによって、味わいは大きく変化します。マルス信州蒸溜所では、中央アルプスの雪解け水がゆっくりと花崗岩質土壌に濾過された地下水を使用。ミネラル分が少なくやわらかな軟水は信州蒸溜所ならではの味わいを生み出すだけでなく、冷却にも使われています。
また、原料はイギリス産の良質な麦芽を厳選。スモーキーなピートの香りがないものをメインに数種類を使い分け、2020(令和2)年からは伊那谷産麦芽の使用も開始しました。さらに発酵は木槽とステンレスタンクの2種類で行い、多彩な原酒を造り分けています。ポットスチルによる蒸留は2回。アルコール濃度の高い蒸留液にし、香りを集めて、より多くの成分を凝縮させます。「再留釜から出てくる蒸留液はミドルカットを行い、初めに出てくるものと最後の部分は使用せず、中間の良い香りの蒸留液のみ集めます。30秒ごとに香りや味を確認して前後のカットを決めています」と原酒造りを担当する佐々木雄介さん。このタイミングはすべて感覚によるもので、これを見極められるまでには2年ほどかかったといいます。出来上がった透明な蒸留液は、樽に詰められ熟成。長い年月を経て、琥珀色に色づき、まろやかな味わい、豊かな香りをもつ原酒が誕生します。
製品ごとに使用する樽(原酒)を選びブレンドして、味を揃えたり、新たな味わいを生み出すのがブレンダーの河上國洋さんです。2020(令和2)年9月にリリースされた「シングルモルト駒ヶ岳リミテッドエディション2020」は、信州の爽やかな気候をイメージして「クリーンでリッチ」な香りと味わいを追い求めてできたものだといいます。「リッチなテイストにするには、樽(原酒)の種類が必要ですが、使える樽(原酒)が増えたので、多彩な原酒の中から厳選しイメージする味わいを実現できました」と自信の表情。ブレンデッドウイスキーの「岩井トラディション」は、2010(平成22)年からのレシピを変えずに継承したもの。味わいを揃えることに注力したといいます。「ウイスキーには造っている人の性格が出ると思います。手をかけた分だけ味わいが変わるので、コツコツまじめにやっていきたいです」と河上さんは語ります。 こうして国内外で高く評価されているマルスウイスキーは、水や環境、原料へのこだわりだけでなく、造り手たちのハイレベルな技術とひたむきな努力によって生まれるのです。

ウイスキーの香りを嗅ぐスタッフの写真
「樽(原酒)をたくさんある中から選ぶというのはおもしろいところですね。
またブレンドすると違う味わいになって、宝物を探すような楽しさがあります」と語る河上さん
貯蔵された木製の樽の写真
ウイスキー造りの過程において重要な役割をもつ樽。原酒を木製の樽に貯蔵して熟成させることで、風味や味わいが決まります
設備の写真
「ブレンダーの河上君が画家だとしたら、原酒造りは酵母や麦芽でさまざまな色の絵の具を作るというイメージです。すぐに結果が出ないところが楽しいですね」と佐々木さん

「世界最高賞」を自らの手で

高品質なウイスキーを生み出す蒸溜所として国内外で注目されるマルス信州蒸溜所ですが、ウイスキー需要の低迷により1992(平成4)年から19年間にわたりやむなく蒸留を停止していました。2011(平成23)年に蒸留を再開し、2013(平成25)年には、「マルスモルテージ3プラス25 28年」が、イギリスで開催される世界有数のウイスキー専門コンペティション「ワールド・ウイスキー・アワード(W W A)2 0 1 3」のブレンデッド・モルト部門において「世界最高賞」を受賞。世界最高峰のウイスキーとしてマルスウイスキーの名前が知られるようになりました。
けれどもこれは、蒸留を休止する前に造られた原酒によって生まれたもの。佐々木さん、河上さんは「自分たちの手掛けたウイスキーで世界一をとりたい」と語ります。熟成という長い期間を経て原酒を完成させ、そしてたくさんの原酒からまだ見ぬ味わいを生み出すウイスキー造り。すぐには結果が出ない難しい世界の中で、日々研鑽を重ねる彼らのウイスキーが誕生するのは、もう間もなくです。

  • 本坊酒造マルス信州蒸留所PV

  • Mars Shinshu Distillery in
    Nagano,Japan

  • SPECIAL MOVIE

マルスのロゴ
社名 本坊酒造株式会社 マルス信州蒸留所
TEL 0265-85-0017
営業時間 9:00~16:00
見学最終受付・Barラストオーダー 15:30まで
定休日 年末年始・臨時休業あり
アクセス 長野県上伊那郡宮田村4752-31
GoogleMapsで見る
URL https://www.hombo.co.jp/  

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